遺産分割協議(遺産の配分)
遺産の内訳 | 不動産、預金,車 |
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相続人の範囲 | 妻,前妻との子供3名 |
問題点 | 遺産の配分 |
1 事案の概要
再婚した夫が亡くなり、相続人は妻(相談者),前妻との間の子供が3名の合計4名でした。夫は遺言書を作成していませんでした。相談者である妻は,前妻の子供達とは折り合いが悪く音信不通の状態でした。とはいえ,前妻の子供達に夫が亡くなったことは伝え,前妻の子供達もお葬式に来たけれど,話をすることはほとんどなく,今後もできる限り連絡は取りたくないといった状況でした。
遺産は,夫と一緒に住んでいたマンションと預貯金,車がありました。遺産ではありませんが,夫が加入していた生命保険があり,受取人は,妻になっていました。
2 解決内容
相談者の一番の願いは,夫と一緒に暮らしてきたマンションに住み続けたいというものでした。住宅ローンについては,夫が団体生命保険に加入していたので負債はない状態となりました。
他方,相談者である妻は,夫の生前,夫の看病や入院・手術費用の立替を行い,夫のお葬式費用も妻が全額支払いをしました。
妻の方で,前妻との子供達に対し,遺産のリスト,妻が立替を行った負債のリストを作成しました。その際,生命保険については遺産ではないのですが,生命保険の受取人となっていて,その金額も伝えることとしました。そして,前妻の子供達に,法定相続分よりは少なくなるけれども,この金額を渡すので,マンションを取得したいという内容の手紙の送付をしました。
前妻との子供達も遺産分割調停を行ってまで争いはしたくないといった意向のようでした。財産関係について隠さず開示をし,相続財産の総額がその金額であればということで,ご納得いただけ,こちらの提案額で合意をするに至りました。
3 解決のポイント
① 不動産の査定の依頼方法
自分一人で「マンション(戸建て)に住みたい」となると,代償金といって,他の相続人に対し,不動産を取得する代わりに,原則として金銭を支払わなければなりません。通常,相続財産の中でも,不動産が占める割合は高く,代償金の支払いが高額になるケースが多いのが現状です。そこで,不動産業者に査定の依頼をした際,相場の範囲内でできる限り低い金額で査定をして欲しいと依頼をしました。
② 財産関係を明らかにする。
他の相続人とあまり付き合いがない状態だと,他の相続人も疑心暗鬼になっている状況が多く,「もっとお金があるはずだ」と言われかねません。通帳の開示,相続財産ではありませんが生命保険も開示をし,お金はこれしかないということをご理解いただき,その上でどう分けるのかについて話し合うことができたのが早期の解決に繋がったのだと思います。